研究概要 |
孤発性パーキンソン病(sporadic Parkinson's disease ; SPD)は環境要因、遺伝的要因が関与し発症する疾患であると考えられており, 病因を絞り込むことが困難である. しかしながら, 単一遺伝子異常で発症する家族性パーキンソン病(familial PD ; FPD)の研究は分子レベルでその病態を解明できる可能性があり注目されている. 現在までα-synuclein(PARK1, PARK4), parkin(PARK2), UCH-L1(PARK5), PUNK1(PARK6), DJ-1(PARK7), LRRK2(PARK8), ATP13A2(PARK9)が同定・単離されている. その中でLRRPK2に変異を持つFPDはSPDに比較的よく似た症状を認める. さらに研究代表者はLRRK2蛋白の細胞内局在と機能解析にfocusを絞りLRRK2は膜輸送に係るオルガネラに局在し脂質ラフトに結合していることを明らかにした. それを踏まえ, 本研究ではLRRK2蛋白の細胞内局在と機能解析にfocusを絞って検討を行っている. 本年度までに, LRRK2がPC12細胞やSh-SY5Y細胞といったカテコラミンを持つ培養細胞においてヒト成長ホルモンを用いた放出機能アッセイ系を用いて評価した. 結果, SiRNAでLRRK2をノックダウンすると, 高カリウム脱分極刺激に対し有意に放出能が低下することが確認された. しかしながら, 病的変異の過剰発現系では明らかな差を認めなかった. これらの結果と以前報告した局在の検討結果よりLRRK2はシナプス小胞の輸送, 放出など膜輸送にかかわる機能を持つ可能性が示唆された. 一方で問題点として, 病的変異体では正常体と比較して変化がなく, 今後は現実験系における再現性の確認とTIRF, patch clampなどを用いた別の手法による検討にて病的変異隊に置ける変化を明らかにしていくことを予定している.
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