九州地方出身の常染色体劣性遺伝性晩発性パーキンソン病家系(ARLOPD)から見出された2つの候補原因遺伝子について他の劣性遺伝性パーキンソン病家系約500例について変異解析を行った。その過程において発端家系と同じ地域出身のARLOPD家系を新たに見出した。この家系は8人兄弟中4人の発症者を認め、発症年齢は平均57歳であった。この家系と発端家系が同一祖先に由来しているか否かを確認するため、SNPsチップをもちいてゲノムワイドジェノタイピングを行った。その結果、既に変異がみつかっている2つの候補遺伝子とは異なる位置に2家系の患者が共通してホモ接合体である遺伝子領域を見出した。この結果から新しい原因遺伝子の存在が示唆されたため、マイクロサテライトをもちいたハプロタイプ解析を行った。その結果、両家系からヘテロ接合体のハプロタイプである患者が認められたため、SNPsチップの結果は擬陽性であり、2家系は異なる祖先から異なる原因遺伝子を遺伝していることが示唆された。その他の家系からは患者特異的な遺伝子変異は見つかっておらず引き続き変異スクリーニングを行っている。 また、変異スクリーニングを行う中で、既知劣性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子であるparkinとPINK1両方に変異を持つ家系を見出した。この家系の解析からparkin変異単独よりもparkinとPINK1両方に変異がある患者の方が発症年齢が若年化し、さらに精神症状を合併する傾向であることがわかった。また、高齢発症の家族性パーキンソン病の原因遺伝子であるLRRK2のSNPs解析を行い、漢民族と日本人はSNPsの分布が異なることを見出した。
|