研究課題
骨量は骨芽細胞などによる骨形成と破骨細胞などによる骨吸収のバランスによって調節されている。この骨リモデリングにおいて細胞外プロトン(pH)が重要な役割を担っていることは古くから知られているが、その作用機構は不明であった。Gタンパク質共役型受容体OGR1ファミリー(OGR1、GPR4、TDAG8、G2A)は細胞外プロトンを感知するため、pH感知性受容体の骨リモデリングにおける役割を解析した。ヒト初代培養骨芽細胞ではOGR1が優位に発現しており、細胞外pHを下げるとCOX-2発現とプロスタグランジンE2産生が起こった。阻害剤などを用いた実験によりホスホリパーゼC、プロテインキナーゼCの関与が示唆された。一方、pH受容体が破骨細胞の機能に直接影響しているかどうかについては骨髄細胞をM-CSFおよびRANKLを添加した培養液で分化誘導すると酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)陽性の多核細胞が現れる。破骨細胞の分化の進行に伴いOGR1のmRNA発現が上昇した。このため、この破骨細胞分化培養系を用いて破骨細胞への分化誘導に細胞外pHへの影響を調べた。しかし、細胞外pH低下だけでは分化への影響を十分に見ることはできなかった。骨芽細胞の機能と破骨細胞の機能がRANKL/RANK系のような相互に調節しあう関係であるため、骨芽細胞と破骨細胞との共培養系などの実験による検討が今後必要であると考えられる。さらに、pH受容体ノックアウトマウスを用い、長骨の骨密度を骨密度測定装置により測定した。破骨細胞の機能に影響がある傾向が見られたが、個体差および雌雄差が大きくさらに例数を増やした検討が必要である。
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