研究課題
GPR40の肥満・糖尿病での病態生理的意義の解明のため、複数の遺伝性肥満モデルの膵島でGPR40遺伝子発現を検討した。db/dbマウスなどの遺伝性肥満動物では膵島でのGPR40遺伝子発現が非肥満対照と比べ約1/2以下に低下していた。次に、肥満・耐糖能障害の発症・進展でのGPR40の意義を明らかにする目的で遺伝性肥満コレツキーラット(fak/fak)および非肥満対照(+/+)の膵島でのGPR40遺伝子発現を定量した。6週齢にて2群間で、体重に有意な差がなく、腹腔内糖負荷試験(ipGTT)で血糖にほとんど差はなかった。6週齢でfak/fakの膵島でGPR40遺伝子発現は+/+に匹敵していた。14週齢ではfak/fakで+/+と比べ体重が有意に増加していた。ipGTTでfak/fakで+/+に比べ耐糖能異常の進展が示され、血中インスリンレベルの頂値は30分(6週齢)から90分(14週齢)に遅延していた。fak/fakの膵島でGPR40遺伝子発現は+/+の約1/3に著明に低下していた。一方、+/+の膵島でGPR40遺伝子発現はほとんど変化がなかった。fak/fakで10週齢から4週間50%のカロリー制限を行ったところ14週齢で体重は+/+と同じとなり、ipGTTで耐糖能は+/+とほぼ同じに改善し、血中インスリンレベルの頂値は+/+と同様に30分に正常化し、膵島でのGPR40遺伝子発現は+/+と匹敵するレベルに回復していた。【結論】遺伝性肥満動物では膵島でのGPR40遺伝子発現が低下していることを示した。また、fak/fakで膵島でのGPR40遺伝子発現が肥満・インスリン分泌調節異常の進展とともに低下し、カロリー制限で正常化することを示した。以上の結果から、膵島におけるGPR40発現の低下と、肥満・耐糖能異常でのインスリン分泌調節異常の進展が連関する可能性が示された。
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