膵β細胞の再生医療の実現を目指し、これまで私はアデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入によって膵再生メカニズムを解明しようと研究を進めてきた。その中で、Pdx-1とIsl-1という転写因子が重要であることがわかってきた。本研究は、これらの遺伝子の膵β細胞再生における役割と機構を解析するため、Pdx-1とIsl-1を同時に膵外分泌腺においてのみ発現制御できるマウスを作製し、膵臓の変化を観察し、さらに何らかの再生像が観察されれば、lineage tracing実験を行い、膵β細胞の幹細胞あるいは前駆細胞を探索することを目的としている。 本年度は以下の内容に示す研究を行った。 1. Isl-1発現制御ベクターを作製した。 2. マウスES細胞(EB3)にIsl-1発現制御ベクターをエレクトロポレーション法を用いてROSA26 locusにノックインし、ネオマイシン耐性のクローンを得た。long PCR法で目的のノックインクローンを選択した後、そのクローンをC57BL6/Jマウスの胚盤胞へblastocyst injection法を用いて導入し、キメラマウスを作製した。 3. キメラマウス(オス)とC57BL6/Jマウス(メス)を交配して、Isl-1発現制御ベクターがノックインされた遺伝子が伝わったF1を得た。 4. F1マウスと膵特異的にCreを発現するトランスジェニックマウスであるElastase-Creマウスと交配した。
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