研究課題
本年度はPin1結合蛋白として新たに糖新生系に関与するCRTC2を同定し、Pin1の糖新生系への影響について以下の研究を行った。(1)Pin1結合蛋白を同定するために、Flagタグが付いたPin1をマウス肝臓に発現させ、解析を行ったところCRTC2が同定された。この結合はSf9細胞やHepG2での過剰発現系のみならず、マウス肝での内在性での結合も認められた。さらにアルカリフォスファターゼ阻害薬であるオカダ酸により結合の増強が認められることから、この結合はリン酸化依存的であることが示唆された。(2)Pin1とCRTC2の結合部位の同定を試みたところ、Pin1はN末側のWW domainが、CRTC2は核移行シグナル内にあるSer136が必要であることが明らかとなった。(3)HepG2でのPin1過剰発現はフォルスコリン刺激によるCREルシフェラーゼ活性を抑制し、Pin1ノックダウンにより活性の増強が認められた。(4)CRTC2はフォルスコリン刺激により、細胞質から核へ移行し、CREBと結合することによりCRE転写活性を促進する。Pin1過剰発現により、CRTC2の核移行、CREBとの結合及びPEPCKプロモーターへのリクルートが抑制された。(5)STZ投与マウスは肝でのPEPCK発現が亢進しているが、Pin1過剰発現により発現が抑制され、血糖値の改善も認められた。以上の結果より、Pin1はCRTC2と結合することで肝の糖新生系への調節に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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