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2008 年度 実績報告書

摂食亢進ホルモン・グレリンによる自律神経の恒常性維持機構

研究課題

研究課題/領域番号 20790665
研究機関久留米大学

研究代表者

佐藤 貴弘  久留米大学, 分子生命科学研究所, 講師 (50368883)

キーワードグレリン
研究概要

本研究は、エネルギー代謝調節ホルモンのグレリンが自律神経機能を調節するメカニズムを明らかにすることを目的として計画した。平成20年度は、胃から分泌されたグレリンがどのような作用機序で体温調節を行うのかについての解明を中心に研究を進めた。
夜行性であるマウスの体温は、行動期の暗期に高く休息期の明期に低い、明確な日内リズムを示す。しかしながら、グレリン遺伝子欠損マウスでは体温の変動が短い周期で起き、体温の日内リズムに乱れが観察された。一方、このマウスにグレリン受容体アゴニストを長期間投与することによって野生型に近い体温リズムを観察することができた。そこで、胃から分泌されたグレリンがどのような機構で体温調節を行うのかを検討したところ、グレリンによる食欲調節の場合と同様に、胃の迷走神経を介して延髄孤束核へシグナルを伝えることが明らかとなった。グレリンのシグナルが中枢内でどのような神経回路により伝わるのかについては現在解析中だが、免疫組織化学的実験から延髄縫線核を介することは示すことができた。褐色脂肪組織での発熱は、交感神経末端から分泌されるノルアドレナリンの刺激が褐色脂肪細胞のβ3アドレナリン受容体を介してアンカップリングプロテインの活性や発現を上昇させることにより生じる。そこで、まず電気生理学的な実験を行って褐色脂肪組織へ入力する交感神経活動を検討した結果、グレリン投与によって褐色脂肪組織へ入力する交感神経活動は減弱することが示された。さらに、グレリンの長期投与は交感神経末端のノルアドレナリン合成酵素系の発現も低下させ、絶食時のグレリン遺伝子欠損マウスでは血中のノルアドレナリン含量が高値を示すなど。褐色脂肪組織の発熱に対しグレリンは交感神経の入力系を総じて低下させることが示された。
平成21年度は、グレリンによる血圧調節機構についても検討を進める計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 循環体液調節ペプチド-最近の進歩-グレリンの基礎と新たな可能性2008

    • 著者名/発表者名
      児島将康, 井田隆徳, 佐藤貴弘
    • 雑誌名

      循環器科 64

      ページ: 468-475

  • [学会発表] グレリン遺伝子欠損マウスからグレリンの生理機能を探る2008

    • 著者名/発表者名
      佐藤貴弘, 児島将康
    • 学会等名
      第35回日本神経内分泌学会・第23回日本下垂体研究会合同学術集会
    • 発表場所
      政策研究大学院大学
    • 年月日
      2008-08-28
  • [学会発表] グレリンによる自律神経機能の調節メカニズムの解明2008

    • 著者名/発表者名
      佐藤貴弘, 御船弘治, 井田隆徳, 中島義基, 高橋知子, 寒川賢治, 児島将康
    • 学会等名
      第81回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      青森文化センター
    • 年月日
      2008-05-16

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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