研究概要 |
我々はこれまでPU. 1の発現低下が骨髄腫の発症ないしは骨髄腫細胞増殖に関わっていることを示してきた。また、PU. 1の発現低下が症例数は少ないものの、骨髄腫患者にとって予後不良因子である可能性を示してきた。このPU. 1発現低下が骨髄腫患者の予後不良因子である可能性について、現在さらに骨髄腫症例数の蓄積を行っており、それぞれの患者について骨髄細胞についてCD138抗体ビーズを用いた骨髄腫細胞の純化を行うと同時にRNA抽出、DNA抽出、一部カルノア固定を行っている。既に、一部の患者に関しては、Real time PCRにてPU.1の発現の確認をおこなった。現在、骨髄腫患者を約60名以上予後追跡調査中である。また、骨髄腫の予後因子として知られているt(4 ; 14), t(11 ; 14), t(14 ; 16), t(14 ; 22)についてFISHプローブの作成しカルノア固定した骨髄腫細胞についてFISHを施行中である。一方、患者由来骨髄腫細胞におけるPU. 1とIRF4(MUM1)の発現の予後に及ぼす影響に関しても、上記のように現在症例数の蓄積及び純化骨髄腫細胞でのPU1のReal Time PCRと同時にIRF4のRealTimePCRを行っている。骨髄腫患者の予後は、プロテアソーム阻害剤(ベルケイド)などの分子標的治療薬の登場により改善傾向にあり、長期的な観察が必要と思われる。しかし、中には、ベルケード難治性の患者も多く存在し、その予後不良因子はいまだ未知である。予後不良因子を同定することは、治療法の早期変更にもつながり、重要であると考えられる。
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