(1)異なる親和性のがん抗原をもつリンパ腫モデルの作成と制御性T細胞(Treg)誘導能の検討 今年度は、T細胞受容体(TCR)との親和性や発現量が異なる様々なモデルがん抗原を発現したB細胞リンパ腫細胞株CH12を作成した。具体的には、5C. C7 TCRのエピトープであるハトシトクロムCのC末端をもとに、アミノ酸置換によって様々なTCR親和性をもつエピトープ群を作成し、これらをマウスインバリアント鎖遺伝子のCLIP領域に挿入し、βアクチンプロモーターをもつ発現ベクターによって恒常的に発現するCH12クローンを作成した。その結果、様々な発現強度をもつクローンが各エピトープについて得られ、TCR親和性のみでなく抗原発現量の影響を解析することも可能になった。 (2)がん細胞からのTGF-β産生によるTreg誘導への影響の検討 CH12株により誘導されるTregの性質がCH12からのTGF-βにより受ける影響を解析するため、TGF-βを過剰発現するCH12株を樹立した。 (3)Tregの生体内動態と免疫抑制活性の検討 抗原特異的CTL、抗原特異的Th、抗原特異的Tregの生体内での動態と機能をマウス個体内で解析するため、MHCクラスIを介してgp100特異的CTLに抗原提示し、MHCクラスIIを介して抗原特異的Th及びTregにTCR親和性改変抗原を提示できるがん細胞株を作成した。
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