研究概要 |
気管支喘息は気道を場とした慢性アレルギー性炎症であり、その病態形成にはTh2細胞が産生するIL-4, IL-5, IL-13などのサイトカインが重要な役割を果している。IL-4とIL-13は、Th2細胞分化、IgE産生、血管内皮細胞上の接着分子の発現及び杯細胞の分化に必須であり、IL-5は、好酸球の分化及び活性化に必須である。 一方、2001年、新たなTh2細胞性サイトカインとしてIL-17ファミリーに属するIL-25が発見された。IL-25は、IL-17Aと約20%の相同性を有し活性化Th2細胞により産生されるが、その生物活性はIL-17Aとは異なり、IL-25をマウスに投与するとIL-4, IL-5, IL-13等のTh2サイトカインが産生され、その結果、好酸球増多やIgE産生が惹起されることが示された。本研究者らは、アレルギー性炎症におけるIL-25の役割を解析し、1)マウス喘息モデルの気道では、抗原暴露によりIL-25の発現が認められること、2)可溶化IL-25RFC融合タンパクを投与しIL-25を中和するとマウス喘息モデルにおける好酸球性炎症が抑制されることを示し、アレルギー性炎症における好酸球浸潤に内在性に産生されるIL-25が関与していることを明らかにした。さらに、肺特異的にIL-25を発現するトランスジェニックマウスを作製し、IL-25による気道炎症の増悪機構を解析し、IL-25による好酸球性炎症の増悪は抗CD4抗体の前投与により阻止されることを明らかにした。現在、アレルギー性炎症の局所で内在性にIL-25を産生している細胞を同定中である。
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