研究概要 |
1. NODマウスにおける糖尿病自然発症の抑制 これまで作製した免疫抑制性分子(TRAIL, PD-L1)の発現ベクター(Neomycin耐性遺伝子を含む)を電気穿孔法にてNOD-ES細胞へ遺伝子導入して、クローニングし、フローサイトメトリーにてTRAILやPD-L1の高発現体を選択した。また、膵島β細胞の自己抗原であるマウスmGAD65とプロインスリンについて発現ベクターを作製した。プロインスリンはNODマウスのMHCクラスII(I-A^<g7>)のエピトープ(B9-23)をCLIP置換型ヒトインバリアント鎖(Ii)発現ベクターに組み換えて作製し、mGAD65については、MHCクラスIエピトープの544-554a. a. とMHCクラスIIエピトープの530-543a. a. を含むmGAD65_<530-586>とヒトインバリアント鎖_<1-80>を融合した発現ベクターを作製した。Puromycin耐性遺伝子を含むこれらの抗原の発現ベクターを、免疫抑制性分子を遺伝子導入したES細胞に、同様に電気穿孔法にて遺伝子導入して、クローニングし、マウス抗ヒトCD74(Ii)単クローン抗体でFACSを行って、高発現体を選択することに成功した。 2. 糖尿病発症マウスにおける同種異系(アロ)の膵島移植実験 免疫抑制性分子であるTRAIL、PD-L1、TGF-β、IL-10を遺伝子導入したマウスES細胞(TT2,H-2^<k/b>)をin vitro で樹状細胞(ES-DC)へ分化誘導することができた。ストレプトゾトシンで糖尿病を誘導したCBAマウス(H-2^k)に、これらの免疫抑制性分子を遺伝子導入したES-DC(TT2, H-2^<k/b>)を投与し、H-2^bに対するアロ免疫寛容を誘導した後に、(CBAxC57BL/6)F1マウスより採取した膵島(H-2^<k/b>)を移植して、その生着を血糖や尿糖のモニタリングしたところ、TRAILを遺伝子導入したES-DCを投与したマウスにおいて、アロ膵島の生着期間を遺伝子導入していないES-DC投与群の6.3±0.4日から165±3.5日へ延長することが出来た。
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