昨年度から症例数を増加させ、2010年1月までに札幌医科大学附属病院を受診したミクリッツ病46例を対象にした。ミクリッツ病の診断は、日本シェーグレン症候群研究会(2008)において採択された、IgG4関連ミクリッツ病の基準、1)涙腺・耳下腺・顎下腺の持続性(3か月以上)、対称性に2組以上の腫脹を認める、2)血清学的に高IgG4血症(135mg/dl以上)を認める、3)涙腺・唾液腺組織に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤(強拡大5視野でIgG4陽性細胞がIgG陽性細胞の50%以上)を認める。項目1)及び2)または3)を満たすものとした。 ミクリッツ病46例と原発性シェーグレン症候群20例の治療前血清に関して、上記の方法で免疫複合体を抽出し、プロテオミクス解析を行った結果、様々なピーク(自己抗原候補のタンパク質)が認められたが、検出されるピークの高さの累積(発現量)において、両疾患群で最も有意差を認めた11.3kDaのタンパク質を見出した。 次に、治療開始2か月後の血清を得ることができたミクリッツ病28例をあわせて、この11.3kDaのタンパク質の発現量を比較した結果、治療に入った群では、その発現量が低くなった。 これらの研究結果は、International Rheumatologyに投稿し、速報で掲載された。引き続き、この蛋白の詳細なる解析と、診断マーカーとしての有用性を検討した上で、診断キットの作成などの検討に入りたいと考えている。
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