関節リウマチ(RA)の病態において骨髄細胞の異常が知られており、これまでRAの骨髄でいくつかの遺伝子の発現亢進が報告されている。本研究の目的はRAの骨髄における遺伝子発現を検討し、RAの病態形成に係わる遺伝子を抽出し、RAの病態解明および新たな治療法を開発することである。 本研究ではRAの骨髄CD34陽性細胞におけるmRA発現を検討した。RA44例および対照疾患として変形性関節症(OA)32例のCD34陽性骨髄細胞からRNAを精製・cDNAを合成し、これまでに骨髄における発現亢進の報告のあるAmphiregulin、CXCR4、FKBP5(FK506-binding protein 5)につき、mRNA発現量をリアルタイムPCR法にて定量的に解析した。その結果、3種の遺伝子のうちFKBP5 mRNAはOAに比べRAで有意に強く発現していた。患者背景との相関を検討したが、FKBP5 mRNA発現量は年齢、性別、血清C-reactive protein濃度、治療薬(非ステロイド性消炎鎮痛薬、メトトレキサート、ステロイド剤)との有意な相関はみとめられなかった。これより、RA骨髄CD34陽性細胞におけるFKBP5mRNAの発現亢進は治療薬や炎症による二次的変化ではなく、RAのより根源的な病態に関係するものと考えられた。 次に、RAの病態におけるFKBP5の機能を確認するため、同遺伝子をマウス・マクロファージ様細胞RAW264.7にトランスフェクションし、同遺伝子の高発現株を作成した。現在、同細胞の形態的・機能的特徴の解析を行っている。
|