研究概要 |
今回の実験において注目すべきは、皮膚線維化発症後にimatinibの治療を開始して、治療効果があるかということである。皮膚線維化発症前に治療を開始して治療効果を得た論文はあるが、皮膚線維化発症後では報告がない。 HasegawaらはB細胞の他にT細胞や肥満細胞も同時に抑制すれば治療効果が期待出来るかもしれないと推測しているが(Hasegawa M et al. Am J Pathol 169 ; 954-966, 2006)、imatinibはB細胞抑制の他にT細胞抑制効果も報告されており興味深い(Seggewiss R et al. Blood 105 ; 2473-2479,2005)。我々はクリオグロブリン腎症発症マウスの慢性期にimatinibの治療を開始し、腎炎のみならず皮膚潰瘍まで劇的な治療効果を得た(Iyoda et.al. J Am Soc Nephrol 20 ; 68-77, 2009)。さらに、ラット抗GBM抗体腎炎においてimatinibが治療効果を発揮することもすでに報告している(Iyoda et.al, Kidney Int 2009)。またブレオマイシン誘発肺障害にてimatinibは炎症後期に線維化主体となった時期に投与を開始しても治療効果を認めた(Chaudhary et.al. Am J Respir Crit Care Med 173 ; 769-776, 2006)。以上のevidenceよりimatinibはTight skin miceにおいて予防効果のみならず慢性期の治療効果を発揮する可能性を秘めている。実際に生後13週のTight skin miceにimatinib治療を8週間継続したところ、有意に皮膚線維化を抑制した(186.40±20.35 vs 101.96±16.64μm)。
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