(目的)SKGマウスは、RAに酷似した自己免疫性関節炎を自然発症するモデルマウスである一方、S1Pは細胞膜の構成成分であるスフィンゴミエリンから派生するリン脂質だが、細胞外に放出された後、標的細胞上の受容体(S1P1〜S1P5)に結合し、多彩な作用を発揮する。特にS1P1はリンパ球の遊走に深く関与している。は、SKGマウスにS1P1の機能的アンタゴニストであるFTY720を投与し、関節炎の抑制効果を検討することである。 研究実施 (1) SKGマウスにFTY720を連日経口投与し、経時的に関節腫脹スコアを記録した。 (2) 末梢血中リンパ球、胸腺・脾臓の細胞数、胸腺・脾臓の各細胞のFlow Cytometry結果を対照群と比較した。 (3) 腫脹関節のXp写真・病理組織を、対照群と比較して検討した。 (結果)FTY720投与群では、対照群と比較して関節腫脹スコア・末梢血中リンパ球数・脾臓の細胞数が低下し、胸腺の細胞数が増加した。FACS解析では、脾臓におけるCD4+T細胞・CD8+T細胞の比率が低下し、胸腺におけるCD4+T細胞・CD8+T細胞の比率が上昇していた。対照群では腫脹関節のXp写真において骨破壊が認められ、また病理組織においてリンパ球浸潤・滑膜増殖が認められたが、FTY720投与群では殆ど認められなかった。以上のことより、FTY720投与は循環リンパ球を減少させ、関節局所における炎症を抑制することにより、新しい抗リウマチ薬となる可能性がある。
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