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2009 年度 実績報告書

マクロファージによる感染初期応答を制御する新規チロシンリン酸化蛋白質の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 20790713
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

松村 隆之  国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (50434379)

キーワード感染症防御学 / 自然免疫 / プロテオミクス
研究概要

生体は様々な細菌やウイルスなどの病原体感染の危険に曝されている。生体は病原体の感染を受けると、樹状細胞やマクロファージなどの貪食細胞に発現するToll-like receptors (TLRs)により多様な病原体成分を認識し、TNF-α、IL-6といった炎症性サイトカインの産生などの宿主応答を行う。しかしながら、この防御システムは完壁ではなく、過剰反応は生体に敗血症性ショックや死をもたらす。そのため、感染応答システムの解明とそれに基づく制御法の開発は重要な課題であり、本研究ではTLR4シグナルにおけるチロシンリン酸化ネットワークの全体像を解明し、宿主応答の分子機構の理解を深め、その知見を応用した感染応答の制御を目指している。我々はまず、プロテオミクス技術SILAC(Stable isotope labeling by amino acids in cell culture)を用いて、RAW264.7マクロファージ細胞株のTLR4シグナルにおけるチロシンリン酸化タンパク質の経時的かつ網羅的な同定を行った。その結果、P38,ERK,SHIP,Fes,Pyk2,PLC-γ2といった既知のタンパク質や、38個の新規タンパク質候補を含む合計61個のタンパク質が同定された。安定同位体標識アミノ酸に基づいて同定された25個のタンパク質についてリン酸化変動の定量化を行った結果、20個のタンパク質において2倍以上の変動が認められ、そのうち19個はシグナル伝達因子であった。さらに、変動の認められたタンパク質についてRNAiを用いた機能解析を行った結果、TNF-αの産生には影響しないが、IL-6および抗炎症性サイトカインIL-10の産生を負に制御する新規因子が見出された。この因子が関わるシグナル伝達経路の探索の結果、Syk-PI3K-PLC-γ2経路を介した転写因子NF-κBの持続的活性化を抑制する分子であることが示唆された。本研究により、マクロファージにおいてIL-6およびIL-10の産生を負に制御する新たな因子が同定され、サイトカイン産生調節における新たな分子機構が明らかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] TRAF-interacting protein with a forkhead-associated domain B (TIFAB) is a negative regulator of the TRAF6-induced cellular functions2009

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Matsumura, Junko Kawamura-Tsuzuku, Tadashi Yamamoto, Kentaro Semba, Jun-ichiro Inoue
    • 雑誌名

      J.Biochem. 146(3)

      ページ: 375-381

    • 査読あり
  • [学会発表] 劇症型溶血性レンサ球菌感染症におけるインターフェロンγ産生細胞の解析2010

    • 著者名/発表者名
      松村隆之、池辺忠義、渡邉治雄、小林和夫、阿戸学
    • 学会等名
      第8回感染症沖縄フォーラム
    • 発表場所
      宜野湾市
    • 年月日
      2010-02-13
  • [学会発表] Monocytes are the major producers of IFN-γ in severe invasive group A streptococcal infections2009

    • 著者名/発表者名
      松村隆之、小林和夫、阿戸学
    • 学会等名
      第39回日本免疫学会総会・学術集会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2009-12-04
  • [学会発表] Involvement of IFN-γ and IL-6 in severe invasive group A Streptococcus infection2009

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Matsumura, Tadayoshi Ikebe, Haruo Watanabe, Kazuo Kobayashi, Manabu Ato
    • 学会等名
      17^<th> International Symposium on Molecular Cell Biology of Macrophage 2009
    • 発表場所
      金沢市
    • 年月日
      2009-07-03

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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