研究概要 |
胆道閉鎖症肝における胆汁酸トランスポーターの発現解析 本年度当研究で行う予定にしていた、胆道閉鎖症患児の生検肝もしくは移植時摘出肝における胆汁酸トランスポーターの発現解析であるが、Chenらによって台湾における胆道閉鎖症児の胆汁酸トランスポーター及び核内受容体の遺伝子の発現量変化を解析した論文が発表された(Pediatr Res. 2008, 63 : 667-73)。この論文では肝門部空腸吻合術時と肝移植時の各遺伝子発現量の変化を比較しており、肝門部空腸吻合術後の減黄後も持続する高胆汁酸血症に注目して、患児肝の胆汁うっ滞性肝線維化の過程における適応反応を解析することを目的とする本研究とは異なるが、同様の解析手法を用いても研究の新規性に欠けると思われる。そこで細胞膜蛋白質の高感度多検体同時定量を可能とするMultiplexed-MRM法を用いて肝細胞膜上に発現している胆汁酸トランスポーター蛋白量を解析する方法を検討中である。 パラビオーシス片側胆管結紮モデルの自然経過の解析 パラビーシス片側胆管結紮モデルマウスの作成1ヶ月以降の組織学的変化は現在解析中である。一方で、同モデルの早期解析において、胆管結紮24時間および48時間後に、結紮マウス肝においては胆管上皮細胞と肝細胞の増殖がBrdU陽性細胞として認められたが、非結紮マウス肝においては胆管上皮細胞の増殖は認めたものの、肝細胞へのBrdU取り込みを認めなかった。このことは非結紮肝の胆管上皮細胞が結紮マウスからの何らかの液性シグナルの影響で増殖を開始したことを示唆し、今後その機序に付いても解析予定である。
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