研究概要 |
二次性血球貪食症候群は過剰な活性化状態に陥ったT細胞/単球・マクロファージがもたらす高サイトカイン血症が病態の主因であり, 中枢神経症状, 播種性血管内凝固症候群をきたす致命的症候群である.これまで二次性血球貪食症候群の発症機序について研究を進め, 小児感染症関連血球貪食症候群におけるT細胞抑制性補助シグナルレセプターであるcytotoxic T lymphocyte-associated antigen4(CTLA-4)の遺伝子多型を解析し, 1)T細胞抑制作用が弱くなる多型が患者群で多いこと, 2)T細胞抑制作用が弱くなる多型で臨床症状・検査値が重症であること, を明らかにした. この結果から, 発症機序解明のため, 二次性血球貪食症候群における免疫応答制御機構のさらなる研究が必要であると考えた. 近年, 細胞を酸化ストレスによる細胞障害から守る細胞保護タンパクとして研究されてきたヘムオキシゲナーゼ(heme oxygenase ; HO)のなかで, その誘導酵素であるHO-1は細胞保護のみならず, 炎症・免疫制御に関与していることが明らかになった.そこで二次性血球貪食症候群におけるHO-1について解析し, 二次性血球貪食症候群におけるHO-1による炎症・免疫応答制御の関与について検討することとした。 二次性血球貪食症候群におけるHO-1遺伝子GTリピート数の多型について明らかにする目的で正常コントロール群と患者群での遺伝子多型頻度を検討するとともに, 臨床症状, 臨床検査値との相関について解析中である。
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