野生型マウスの絶食時の視床下部においてALF4のmRNA発現が増加していたことより、同条件におけるALF4の蛋白発現について検討した。ウエスタンブロット法を用いてALF4の蛋白発現を検討したところ、摂食群と比較し、絶食群の視床下部においてその発現増加が認められた。免疫染色法によりALF4蛋白の視床下部内での局在を検討したところ、絶食時の弓状核と腹内側核においてその強い発現を認めた。また、ALF4の蛋白発現は主に神経細胞の核内に局在していた。次に、絶食時の視床下部におけるALF4とGHS-Rの共存を二重免疫染色法を用いて検討したところ、大部分のALF4陽性細胞はGHS-Rを発現していた。このことより、絶食時に視床下部において増加するALF4は、グレリンのシグナルと何らかの関わりを持っている可能性が示唆された。そこで、視床下部神経細胞の細胞株であるGT1-7細胞にグレリンを処置し、ALF4の発現誘導を検討した。ALF4の発現は、グレリン処置後30分目より増加し始め、4時間を過ぎても高値を保っていた。また、ALF4の発現は、刺激したグレリンの容量に依存的して増加した。さらに、野生型マウスの腹腔内にグレリンを投与し、視床下部におけるALF4の発現誘導を検討したところ、ALF4の発現は、グレリン投与後2時間で増加し始め、4時間で最高値に達した。また、グレリンによって視床下部で増加したALF4は、弓状核と腹内側核のGHS-Rを発現している細胞に局在していた。これらことより、ALF4は、視床下部においてグレリンにより直接的に誘導されることが明らかとなった。
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