唾液中には生理活性を有する遊離型ステロイドホルモンが血中から分泌されている。唾液中ステロイドホルモンは高感度な液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)法のみで測定可能である。肥満思春期女児、健常非肥満思春期女児の唾液中アンドロゲン分泌について比較検討した。【対象】思春期女児21例。乳房Tanner2-5度。明らかな男性化を認める症例、副腎および性腺機能不全疾患は除外した。【方法】午前9時-15時に唾液採取を行い、LC-MS/MS法で唾液中遊離型アンドロゲン、すなわちDHEA、androstenedione (A)、testosterone (T)を測定した。DHEA、A、T値を肥満群(O群9例;BMI95パーセンタイル以上)と非肥満群(NO群13例;BMI95パーセンタイル未満)間で比較検討した。【結果】1.DHEA (pg/ml):O群94.3-522.7 (191.7)、NO群37.9-277.4 (91.0)、P=0.015。2.A (pg/ml):O群56.9-124.8 (68.4)、NO群10.6-77.7 (60.1)、P=0.015。3.T (pg/ml):O群3.3-9.2 (5.8)、NO群1.0-4.5 (3.0)、P=0.002。【考案】DHEA、androstenedioneとtestosteroneは非肥満群に比較し、肥満群において有意に高かった。肥満思春期女児において非肥満思春期女児と比較しアンドロゲン分泌が亢進していると考えられる。
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