右心不全モデルの作成 ; SDラット(体重70g前後)とC57BL/6マウス(25g前後)を用いて肺動脈絞扼術モデルを作成した。ともに人工呼吸管理下に右側開胸を行い主肺動脈に7-Osutureを用いて絞扼を行い右心負荷モデルを作成した。C57BL/6マウスでは手術成功率は80%で安定していたが30匹中18例が術後3日以内に死亡した。死亡後にいずれも著明な腹水を有し右心室の著明な拡大を認めたことから急性右心不全による死亡と推測できた。しかし右心不全の病態解析には生存期間が短く不適当と評価しSDラットによる評価が妥当と判断した。SDラットでは手術成功率は90%で50%生存期間は28.2日であった。また術後30日に行ったmicro catheterによる右心機能解析で右室/左室圧は0.65と上昇を認め十分な右室に対する圧負荷を呈していた。同じく術後30日にin vivoにおける心エコー検査ではAcuson社Sequoiaを使用することによって心室中隔の平定化と右心室の拡大を観察することが出来た。解剖所見は全例で右心室の拡大と心筋肥厚を認めた。以上の結果からSDラットに対する肺動脈絞扼術によって代償性右心不全を作成することが出来た。さらに生理学的血行動態の評価も可能であった。 平成21年度における研究の発展性 ; 右心不全を単独で呈するモデルを作成することが出来たためMicro Arrayによる網羅的遺伝子解析、EHZA法による血中蛋白解析を行い右心不全に特異的なバイオマーカーの同定と各種抗心不全薬の右心不全に対する効果を生理学的手法で評価を行なっていく。
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