研究概要 |
急性前骨髄性白血病(APL)のall-trans retinoic acid (ATRA)療法は、染色体15;17転座に伴うPML/RAR融合遺伝子を標的とした分子標的療法である。新規レチノイド化合物Am80、RXRアゴニストであるレチノイド化合物(HX630,PA024)は、分化誘導能を呈することが報告されている(東京医歯大 影近弘之教授)。分化誘導療法のメカニズムとして、PML/RAR融合遺伝子と相互作用する転写共役因子の存在が重要である。本研究では、転写共役因子との相互作用およびRARαの標的遺伝子群に対する転写活性の評価を行う。APL細胞における新規レチノイド化合物の分化誘導機構について、ATRAとの差異を明確にする。 1 ATRA耐性APL細胞において、新規レチノイ(Am80,TAC101,HX630,PA024)により誘導される標的遺伝子群の網羅的解析 APL細胞にATRA添加を行い、誘導される遺伝子群をマイクロアレイにて検討した。 その結果、Defensin遺伝子の誘導を認めた。 2 RAR標的遺伝子群の転写活性実験 骨髄球分化に関係する転写因子C/EBPεおよび好中球顆粒蛋白質defensin4のプロモーター領域(上流約500bp前後)を取得し、ルシフェラーゼレポーターに組み込んだ。 3 PML/RAR融合蛋白質と転写共役因子の相互作用に対する影響 転写共役因子は、転写に促進に働く共役因子(TRAP,CBP,p300)および抑制的に働く共役因子(N-CoR)の発現ベクターを構築した。
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