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2009 年度 実績報告書

胎生期にアルコール曝露されたラットのセロトニン神経系の異常と行動異常の関係

研究課題

研究課題/領域番号 20790766
研究機関徳島大学

研究代表者

太田 健一  徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50403720)

キーワード胎生期アルコール曝露 / セロトニン / 不安・恐怖 / 高架式T字迷路試験 / 高架式プラットホーム試験
研究概要

妊娠SDラットに10~21日の間2.5~5.0%エタノール含有液体飼料を与え、その仔(Et群)を各解析に用いた。対照群にはエタノールを等カロリーのショ糖で置換した液体飼料を与えた母獣の仔(Pf群)と固形飼料を与えた母獣の仔(Int群)を用いた。
まず胎生期エタノール曝露による発達期のセロトニン(5-HT)神経系への影響を調べるために、胎生20日齢、生後2,4,7,21,28日齢で各群の全脳を採取しホモジナイズして、5-HT及び5-HIAA量をHPLCにて解析し比較した。投与中である胎生20日齢ではEt群の5-HT及び5-HIAA量はPf,Int群と比較して有意に減少していたが、生後2,4,7日齢では逆に顕著な増加が見られ、以降の日齢では差が見られなかった。次に前年度に見られた高架式十字迷路試験での結果を詳しく解析するために、生後60~70日齢で高架式T字迷路試験を行った。Closed armからopen armに出るまでの潜時を連続で3回(受動的回避行動=conditioned fearの発現)とopen armからclosed armに出るまで(回避行動=unconditioned fearの発現)の潜時を1回(逃避行動=unconditioned fearの発現)、それぞれ30秒のインターバルをおいて測定した。Et群ではPf,Int群と比較して逃避行動には差は見られなかったが、受動的回避行動は抑制されていた。更にunconditioned fear発現をより詳しく解析するために、高架式プラットホーム試験にて強照明(直接照明、6001ux)による強い不安・恐怖を与えすくみ時間を測定したところ、Et群では有意にすくみ時間が増加していた。
これらのことから胎生期エタノール曝露を受けたラットは、conditioned fear発現が抑制されており、unconditioned fearは不安・恐怖の強度が強い場合に正常なラットより発現が促進されることが示された。またこのような不安発現の異常は、本研究で見られたような発達期の5-HT動態の異常が、5-HT神経系の投射部位であり不安・恐怖の発現に密接に関与する前頭皮質、扁桃体、中心灰白質の発達に影響を与えたことに起因している可能性が推察され、今後はこの点に注目して研究を進めていく必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Alteration in anxiety-related behaviors and reduction of serotonergic neurons in raphe nuclei in adult rats prenatally exposed to ethanol.

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Ohta
    • 雑誌名

      Congenital Anomalies (In press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 胎生期アルコール曝露によって障害される受動的回避行動2009

    • 著者名/発表者名
      太田健一
    • 学会等名
      第64回日本解剖学会中国四国支部学術集会
    • 発表場所
      高知市
    • 年月日
      2009-10-25
  • [学会発表] 胎生期エタノール曝露による周生期5-HT動態の変化2009

    • 著者名/発表者名
      太田健一
    • 学会等名
      第49回日本先天異常学会学術集会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      2009-06-26

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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