妊娠期の胎内環境影響因子が、次世代にどのような影響を及ぼすかについて、本年は栄養に関する成人病胎児起源説の検討を行った。これは妊娠ラットを用い、母体妊娠期および産褥期の低栄養および高脂肪栄養による胎内環境の影響への研究を行った。この胎内プログラミングモデルは母体栄養により出生後仔ラットの体重変化、血圧測定及び、血管反応における検討を行い、高血圧など出生仔代謝性疾患を発症するモデルの作成に成功した。特に興味深い点は(1)母体低栄養による成人期高血圧発症のみならず高栄養によっても高血圧発症が惹起された点、(2)胎内時期だけでなく新生児〜小児早期までの時期の栄養調節によっても同様に高血圧発症が惹起された点である。いずれの研究においても、新しい見解と発見が認められ、これらの実験実績は、下記の各学会発表にエントリーし、採択された。 平成20年4月開催の日本産婦人科学会総会にて高得点演題として採択され発表を行った。 平成20年5月開催の世界周産期学会(名古屋)において2演題採択され発表を行った。 平成20年6月に開催されたDOHaD研究会(三重)において招請講演採択され発表を行った。 平成20年9月の日本産婦人科学会北日本連合(弘前)において特別講演に採択され発表を行った。 平成21年1月に開催された米国周産期学会(米国サンディエゴ)に演題が採択され発表を行った。 平成21年4月開催の日本産婦人科学会総会にて演題として採択された。 以上より本研究は極めて注目されている分野であるとともに、研究結果においても十分な成果が得られている。今後、上記胎内環境に応じ出生した仔ラットにおいては、次世代の仔に対する検討についても研究項目の追加を予定しており更なる発展が予想される。
|