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2009 年度 実績報告書

表皮水疱症に対する遺伝子治療効果の検証:疾患モデルマウスのトランスジェニック救済

研究課題

研究課題/領域番号 20790781
研究機関北海道大学

研究代表者

伊藤 圭  北海道大学, 大学病院, 助教 (20421977)

キーワード皮膚病理学 / 遺伝子治療
研究概要

重症型表皮水疱症のモデル動物(VII型コラーゲンノックアウトマウス:Col7 KO)に対してトランスジェニック救済実験を行い、遺伝子治療の有用性を生体レベルで検証する。
1.Col7 KOマウスの供与を受け、C57BLマウスに戻し交配を行った。
2.ヒトVII型コラーゲン遺伝子を表皮角化細胞に強制発現させるトランスジェニックマウス(Tgm)、真皮線維芽細胞に発現させるTgm、マウス個体の全細胞に発現させるTgmをマイクロインジェクション法により作成した。
3.Col7 KOマウスのヘテロと3系統それぞれのTgmとの交配を繰り返し、ヒトCOL7遺伝子のみをもつレスキューマウスを作成(救済実験)した。
4.3系統いずれの救済実験においても、その外観、成長においてWild typeと差異は認めなかった。また、電顕所見において係留線維の形成を認めた。
5.係留線維がヒト化されたいずれの系統(レスキューマウス)の長期観察においても生存予後はWild typeと差異はなく、水疱の出現は認めなかった。
6.臨床に近い状態を表現させるため導入ヒトCOL7遺伝子に変異をもつTgmを作成しレスキュー実験を行ったところ、ヒト表皮水疱症と同様臨床像を呈する新規の長期生存可能な表皮水疱症モデルマウスを作成することができた。
以上の結果より、表皮水疱症において、表皮、真皮のいずれに遺伝子を導入しても、基底膜部に機能的な係留線維を形成しうることが生体内で証明され、将来遺伝子治療が行われる際への大きな提言となった。また、変異遺伝子を導入することによりヒト表皮水疱症と同様の臨床像を呈する長期生存マウスの開発に成功したことは、今後の疾患治療実験に使用できるばかりではなく、個々の表皮水疱症患者における変異遺伝子がもたらす疾患予後の推測やテーラーメイド医療開発にも繋がる非常に意義が大きい重要性のある研究であると考える。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Prevalent LIPH founder mutations lead to loss of P2Y5 activation ability of PA-PLA1alpha in autosomal recessive hypotrichosis2010

    • 著者名/発表者名
      Shinkuma S, Ito K
    • 雑誌名

      Human Mutation Mar 8(In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Keratinocyte-/fibroblast-targeted rescue of Col7a1-disrupted mice and generation of an exact dystrophic epidermolysis bullosa model using ahuman COL7A1 mutation2009

    • 著者名/発表者名
      Ito K, Shimizu H
    • 雑誌名

      American Journal of Pathology 175

      ページ: 2508-2517

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pemphigus foliaceus associated with oesophageal cancer2009

    • 著者名/発表者名
      Shinkuma S, Ito K
    • 雑誌名

      Journal of European Academy of Dermatology and Venereology 23

      ページ: 473-474

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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