研究概要 |
本研究代表者は、TNF-alphaが神経線維腫症1型患者由来の神経線維腫培養細胞に増殖促進的に作用することを報告した. 本研究では, 神経線維腫培養細胞に種々のサイトカインがその増殖制御にどのように関わっているかを解析した. 神経線維腫培養細胞の他, G361, HaCaT, HSC-1, MCF-7等をTNF-alphaを含むaFGF, bFGF, HGF, NGF等の種々のサイトカインにて刺激し, その増殖能の差異をMTT colorimetric bioassayにより検討したところ, TNF-alpha刺激時にのみ, 神経線維腫培養細胞で増殖が促進され, 他のコントロール群(G361, HaCaT, HSC-1等)では増殖の促進はみられなかった. TNF-alphaの刺激時に神経線維腫培養細胞は時間, 濃度依存性に増殖し, また抗TNF-alphaレセプター抗体を刺激時に同時投与するととその増殖は抑制された. これらTNF-alpha刺激時の細胞周期をFACS scanにて解析すると, S期の細胞の割合はTNF-alpha刺激後24時間で最大となった. また、TNF-alphaレセプター抗体を刺激時に同時投与すると, S期の細胞の割合変化は全くみられなかった. これらの結果は、TNF-alphaは神経線維腫の増殖に重要な役割を果たしており, これらを阻害する因子を投与することにより, その増殖抑制効果に治療としての可能性があり, 実際の臨床での治療薬となりうる可能性が示唆された.
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