神経線維腫の増殖に対するTNF-alpha作用の検討

2010 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 20790788
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 皮膚科学
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 中村 泰大 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20455934)
• 研究期間 (年度): 2008 – 2010
• キーワード: 皮膚腫瘍学

研究概要

一般に細胞増殖を抑制する蛋白と考えられているTNF-alphaにより、神経線維腫(NF)培養細胞は刺激濃度依存性、刺激時間依存性に増殖することを見出した。NF細胞はTNF-alphaの刺激時にMEK/ARKシグナル伝達経路を介して増殖することが明らかとなった。TNF-alphaレセプターの局在についてはNF細胞に発現しているものの、細胞内にTNF-alphaはみられず、神経線維腫組織内に散在する肥満細胞にのみTNF-alphaの局在が確認された。さらに抗TNF-alpha抗体,抗TNF-alpha受容体抗体を競合させたところ,NF細胞の増殖は抑制される傾向にあった。
以上の結果より、今後臨床の現場において抗TNF-alpha薬剤による治療により、神経線維腫症I型患者のNFの増殖を抑制できる可能性が示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] Overexpression of the Transcription Factor Yin-Yang-1 Suppresses Differentiation of HaCaT Cells in Three-Dimensional Cell Culture. (2011)
  • 著者名/発表者名: Taguchi S, Kawachi Y, Ishitsuka Y, Fujisawa Y, Furuta J, Nakamura Y, Xu X, Ikebe D, Kato M, Otsuka F
  • 雑誌名: J Invest Dermatol. 131 ページ: 37-45
  • 査読あり
• [雑誌論文] Modified gluteal-fold flap for the reconstruction of vulvovaginal defects. (2010)
  • 著者名/発表者名: Nakamura Y, Ishitsuka Y, Nakamura Y, Xu X, Hori-Yamada E, Ito M, Onizawa S, Kawachi Y, Otsuka F
  • 雑誌名: Int J Dermatol. 49 ページ: 1182-1187
  • 査読あり
• [雑誌論文] Complete long-term response of angiosarcoma of the scalp with cervical lymph node metastases treated with a combination of weekly and monthly docetaxel. (2010)
  • 著者名/発表者名: Nakamura Y, Nakamura Y, Hori E, Furuta J, Kawachi Y, Otsuka F
  • 雑誌名: Br J Dermatol. 163 ページ: 1357-1358
  • 査読あり
• [雑誌論文] 頭部びまん性神経線維腫切除時の止血の工夫 (2010)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、石塚洋典、里見久恵、石井良征、川内康弘、大塚藤男
  • 雑誌名: Vol.1 ページ: 68-70
• [雑誌論文] Tumor lysis syndrome after transcatheter arterial infusion of cisplatin and embolization therapy for liver metastases of melanoma. (2009)
  • 著者名/発表者名: Nakamura Y, Nakamura Y, Hori E, Furuta J, Ishii Y, Takahashi T, Kawachi Y, Otsuka F
  • 雑誌名: Int J Dermatol. 48 ページ: 763-767
  • 査読あり
• [雑誌論文] A case of syringoid eccrine carcinoma with circumscribed abundant stroma. (2009)
  • 著者名/発表者名: Enomoto H, Takahashi T, Nakamura Y, Otsuka F
  • 雑誌名: J Eur Acad Dermatol Venereol. 23 ページ: 317-318
  • 査読あり
• [雑誌論文] Multiple microvenular hemangiomas in a healthy child. (2009)
  • 著者名/発表者名: Nakamura Y, Takahashi T, Xu X, Otsuka F
  • 雑誌名: Int J Dermatol. 48 ページ: 95-97
  • 査読あり
• [雑誌論文] The induction of tumor-specific CD4+ T cells via major histocompatibility complex class II is required to gain optimal anti-tumor immunity against B16 melanoma cell line in tumor immunotherapy using dendritic cells. (2009)
  • 著者名/発表者名: Fujisawa Y, Nabekura T, Nakao T, Nakamura Y, Takahashi T, Kawachi Y, Otsuka F, Onodera M
  • 雑誌名: Exp Dermatol. 18 ページ: 396-403
  • 査読あり
• [雑誌論文] 耳下腺リンパ節転移を生じた頭頚部皮膚原発悪性黒色腫耳下腺領域および頸部リンパ節の取り扱いに関して (2009)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、中村貴之、石井良征、古田淳一、川内康弘、大塚藤男
  • 雑誌名: 日皮会誌 Vol.14、119 ページ: 3051-3058
  • 査読あり
• [学会発表] 頭頸部悪性腫瘍手術時における顔面神経露出・温存術式および術後顔面神経麻痺に関する検討 (2010)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、藤澤康弘、中村貴之、石塚洋典、鬼澤沙織、伊藤倫子、宮崎郁、小林桂子、伊藤周作、大塚藤男
  • 学会等名: 第26回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 20100604-20100605
• [学会発表] 当科における骨盤リンパ節郭清術式の変遷 (2009)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、中村貴之、石塚洋典、藤澤康弘、大塚藤男
  • 学会等名: 第24回日本皮膚外科学会総会・学術集会
  • 発表場所: 愛知
  • 年月日: 20090620-20090621
• [学会発表] 皮弁術と植皮術私の使い分け女性外陰部悪性腫瘍切除後欠損に対するV-Y advancement type gluteal fold flapによる再建の有用性について植皮術との比較 (2009)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、石塚洋典、中村貴之、伊藤倫子、鬼澤沙織、大塚藤男
  • 学会等名: 第25回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会
  • 発表場所: 岡山
  • 年月日: 20090522-20090523
• [学会発表] 頭部びまん性神経線維腫切除時における止血の工夫 (2009)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、石塚洋典、里見久恵、石井良征、川内康弘、大塚藤男
  • 学会等名: 第1回日本レックリングハウゼン病学会学術大会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2009-11-15
• [学会発表] 両側大臀筋皮弁および片側薄筋皮弁による骨盤底再建 (2008)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、中村貴之、大塚藤男、柳澤和彦、山本雅由
  • 学会等名: 第23回日本皮膚外科学会総会・学術集会
  • 発表場所: 京都
  • 年月日: 20080809-20080810
• [学会発表] 非神経線維腫症1型患者の神経線維腫より生じたmalignant peripheral nerve sheath tumor (2008)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大、田中亮多、堀延未、中村貴之、川内康弘、大塚藤男
  • 学会等名: 第24回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会
  • 発表場所: 岐阜
  • 年月日: 20080704-20080705
• [図書] 皮膚外科学(監修日本皮膚外科学会) (2010)
  • 著者名/発表者名: 中村泰大, 他
  • 総ページ数: 572-579
  • 出版者: 学研メディカル秀潤社