平成20年度は、(1) 抗CD20抗体によるB細胞療法が免疫グロブリンに及ぼす影響、(2) T細胞依存性/非依存性免疫応答におけるB細胞の役割、(3) 胚中心性B細胞に対する効果、(4) 記憶B細胞細胞に対する効果、について検討した。 (1) 抗CD20抗体によるB細胞療法が免疫グロブリンに及ぼす影響 抗CD20抗体療法は血清中のIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3濃度に影響を与えなかった。 (2) T細胞依存性/非依存性免疫応答におけるB細胞の役割 CD20抗体療法は、DNP-KLHで免疫したT細胞依存性免疫応答、TI-1抗原(TNP-LPS)で免疫したT細胞非依存性免疫応答においてIgMからIgGへのクラススイッチを阻害した。一方、TI-2抗原(DNP-Ficoll)に対する免疫応答ではIgMの産生も阻害されていた。 (3) 胚中心性B細胞に対する効果 マウスをNP-CGGで免疫して胚中心を形成し、抗CD20抗体を投与したところ、胚中心性B細胞は除去され。また、フローサイトメトリーを用いた解析で、胚中心性B細胞はCD20を高発現していた。 (4) 記憶B細胞細胞に対する効果 Adoptive transferの手法を用いた免疫実験において、CD20抗体療法は免疫記憶応答を阻害した。さらに、抗CD20抗体を投与したマウスでは、抗原特異的抗体産生細胞数は減少していた。 以上の結果から、CD20抗体療法は抗体産生細胞である形質細胞には影響を及ぼさないものの、胚中心性B細胞や記憶B細胞を除去することが明らかとなった。また、T細胞依存性/非依存性免疫応答にも影響を及ぼすことが明らかとなった。
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