平成21年度は、(1)前形質細胞に対する効果、(2)抗原特異的抗体産生細胞に対する効果、(3)形質細胞に対する効果、について検討した。 (1) 前形質細胞に対する効果:精製したB細胞をCSFEで標識し、LPSとIL-4を加えて培養しin vitroで前形質細胞を誘導した。CSFE+CD138+前形質細胞はCD20を発現していた。in vivoの検討でも、マウスの骨髄と脾臓における前形質細胞(B220^<low>CD138^<high>)はCD20を発現していた。 (2) 抗原特異的抗体産生細胞に対する効果:マウスをDNP-KLHで免疫し、免疫21日後に抗CD20抗あるいはコントロール抗体を投与し、経時的に血清を採取してハプテン特異的抗体価をELISA法にて測定した。抗CD20抗体は抗原特異的抗体価に影響を与えなかった。 (3) 形質細胞に対する効果:マウスにBrdUを投与するとin vivoで短寿命前形質細胞(CD138^<high>BudU^+)と長寿命形質細胞(CD138^<high>BudU^-)を区別することができる。抗CD20抗体は短寿命前形質細胞を除去したが、長寿命形質細胞は除去しなかった。しかし、抗CD20抗体を抗LFA-1抗体と抗VLA-4抗体とともに投与したところ、骨髄の形質細胞は除去された。 以上の結果から、CD20抗体療法は抗体産生細胞である形質細胞には影響を及ぼさないものの、その前駆細胞である前形質細胞は除去することが明らかとなった。さらに、抗CD20抗体を抗VLA抗体と抗VLA-4抗体とともに投与することで形質細胞を除去できる可能性が示唆され、免疫疾患の治療に応用できる可能性が示唆された。
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