マウス紫外線照射免疫抑制モデルにおいて表皮ランゲルハンス細胞の免疫抑制性特性の検討を行った。Broadband UVBを照射後表皮ランゲルハンス細胞は経時的に減少し、所属リンパ節では経時的に増加した。同時に接触過敏反応はランゲルハンス細胞の所属リンパ節での増加と相関して経時的に抑制された。ランゲリン-DTR-EGFPマウスを入手し、一時的にランゲルハンス細胞欠損状態を作製した後にBroadband UVBを照射しその後接触過敏反応を観察したところ、表皮ランゲルハンス細胞が欠損したマウスでは接触過敏反応の抑制が生じないことが観察された。以上の結果よりマウスにおける紫外線免疫抑制に表皮ランゲルハンス細胞が重要な役割を果たしていることが示唆された。 チオレドキシンは抗酸化作用と強力な抗炎症作用を有する。チオレドキシントランスゲニックマウスを用いて接触過敏反応を検討したところ野生型マウスと比較して有為な反応の現弱をみた。またこの反応の減弱効果は接触過敏反応の感作相ではなく惹起相に働くことで生じていた。チオレドキシントランスジェニックマウスでは皮膚樹状細胞の遊走やハプテン特異的細胞増殖は正常であり、過剰なチオレドニキシンは経皮的免疫誘導に影響を与えないことが示唆された。さらにチオレドキシントランスジェニックマウスでは一次刺激性皮膚炎も現弱していた。以上の結果よりチオレドキシンは接触皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の治療薬として理想的な物質である可能性が示唆された。現在チオレドキシン外用により炎症性皮膚疾患が抑制できるか検討中である。
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