平成20年度は手術切除組織からの悪性黒色腫細胞の培養法について検討した。7人の悪性黒色腫患者の皮膚原発巣4検体(末端黒子型4例、悪性黒子型1例)、転移巣3検体の計7検体から培養を試みた。そのうち、原発巣2検体、転移巣1検体の計3検体で色素細胞の培養に成功した。色素細胞は二極性〜三極性の胞体の少ない細胞で、メラニン色素を有するものが散見された。色素を有しない細胞についてはDOPA染色を行うことによってチロシナーゼの存在を証明することができた。現段階ではこれらは線維芽細胞や表皮角化細胞が混在している状態のため、今後、分離培養を行い純粋な色素細胞培養を行う予定である。全7検体のうち、残りの4検体においては線維芽細胞の過増殖や細菌、真菌のコンタミネーションのため培養継続が困難であった。転移巣から検体採取を行った場合は線維芽細胞や細菌のコンタミネーションが多い傾向があった。遺伝子検査については現在mRNAから逆転写を行ってcDNAを作製し、NRAS、BRAF、C-KITのホットスポットの変異を検索している。次年度(平成21年度)はさらに検体数を増やしていくとともに、コンタミネーションを予防して培養効率を高める。また、混合培養から色素細胞の分離を行う。同時に、cDNAを保存し、遺伝子変異の検索を行う。この研究の最終年度(平成22年度)には集めた検体、培養細胞を用いて薬剤感受性検査やマイクロアレイ解析を行う予定である。
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