平成21年度は計6人の患者から6つの悪性黒色腫組織を採取した。そのうち、5つは原発巣、1つは転移巣であり、その内訳は、末端黒子型悪性黒色腫2つ、悪性黒子型悪性黒色腫2つ、表在払大型悪性黒色腫1つ、皮膚転移1つであった。遺伝子解析用に全ての検体から組織の一部を凍結保存した。培養に成功したのは末端黒子型悪性黒色腫1つのみであった。他の原発巣からの培養では、線維芽細胞のコンタミネーションが多く、色素細胞の増殖がみられなかった。培養か成功しない理由としては、トリプシン処理による表皮-真皮の分離がうまくいっていないことや、使用している増殖因子に問題がある可能性が考えられた。前者に対する解決策としては、トリプシン処理前に検体をトリミングすることによりトリプシンの浸透を均一化させ、成功率を高められるようにした。増殖因子には現在まで使用してきたPhorbol ester、Cholera Toxin、Endothelin、stem cell factorに加えて新たにEpidermal growth factorを追加し、その効果を検討中である。また、あらたな培養法としてプラスチックメンブレンを用いてのメラノサイトーケラチノサイト培養系を検討中である。遺伝子検査については現在mRNAから逆転写をいってcDNAを作製し、NRAS、BRAF、C-KITのホットスポットの変異を検索している。平成22年度は、さらに検体の採取を進め、現在までに得られた組織とともに遺伝子解析、マイクロアレイを行う予定である。
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