UVA-1と別の紫外線との混合照射 UVA-1(340-400nm)は近年、強皮症やアトピー性皮膚炎などの治療に効果を示す報告がみられている。昨年度までにマウスの接触過敏反応(CHS)・遅延型過敏反応(DTH)においてUVA1でUVBと同様免疫反応の抑制がみられるかを確認したところ、単回照射(100J/cm2)では抑制がかからなかったが、4日連続照射(100J/cm2x4)にて反応の抑制がみられた。しかしこれはトレランスの誘導はおこさなかった。そのマウスのリンパ節をリアルタイムPCRにて解析したところ、制御性T細胞の誘導を示唆するFoxp3の増加はみられなかった。これらのことからは、UVA1照射は免疫抑制をひきおこすが、抗原特異的なトレランスは誘導しないことが考えられた。一方、Narrowband-UVBの照射は、抗原特異的なトレランスを誘導することを以前に報告しており、またリンパ節でのFoxp3を増加させる。そこで、このUVA1とNarrowband-UVBを組み合わせて照射を行ない(UVA1 4日連続照射後Narrowband-UVBを単回照射)反応の変化を確認した。その結果、接触過敏反応のモデルにおいては免疫抑制(マウスの耳腫れの抑制)をおこすことができなかった。機序解析のため表皮シート、皮膚切片を用いて検索を行ったところ、表皮内のランゲルハンス細胞の数は、Narrowband-UVB単独照射では減少がみられたのに対し、UVA1単独照射では減少を示さず、またUVA1照射をしたあとにNarrowband-UVBを照射した場合でも減少せず、UVA1照射がUVBによるランゲルハンス細胞の表皮からの減少を抑制する結果となった。これは真皮樹状細胞の数でも同様の傾向がみられた。このことからは、UVA1の照射により、ランゲルハンス細胞、真皮樹状細胞の機能変化をおこすことが、免疫抑制の起こり方の変化に関係していると考えられる。現在、追試をおこない、さらに機序解析をすすめている。
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