研究概要 |
組織培養下でウイルスの複製および増殖に関する役割が不明な水痘-帯状疱疹ウイルス遺伝子ORF39について、その遺伝子の機能を以下の方法にて検討した。まず、目的遺伝子であるORF39をこの領域をコードするヴクター内で欠損させ、ターゲット遺伝子がコードされているコスミベクターに同部位に組み込みこんだ。今回用いたコスミドベクターはStanford大学の研究グループにより作成されたFsp4,Spe5,Pme19およびSpe21で、それぞれのコスミドは水痘帯状疱疹ウイルス遺伝子(岡株)の1-33211,21875-40134,53877-96188および94208-124884をSupercos vector制限酵素AscI部位に組み込んだものである。細胞への遺伝子導入効果を上げるため、リポフェクション法にてターゲット遺伝子を組替えたコスミドベクターをMW-115細胞に導入した。遺伝子導入を行ったMW-115細胞は細胞変性効果が認められるまで継代したが細胞変性効果が認められたため、欠損させた遺伝子を再度、Spe21のORF65とORF66の遺伝子間に存在するユニークな制限酵素部位であるAvrII部位に組込み、必須で遺伝子の有無を再度、検討した。また、ORF39をAvrII部位への再導入し正常な3つのコスミドベクターとco^-ransfectionでさせた結果、細胞変性は認められず、ウイルスを得ることができなかった。この結果は、ORF39はORF38およびORF40に囲まれた状態でないとウイルスの生存に何らかの影響があることが示唆された。このことを証明するために、今後、ターゲット遺伝子を持続的に発現する細胞株をMW-115細胞用いて作成し、同様にco^-ransfectionを行うことでウイルス増殖の必須遺伝子であることを証明し、ORF39は水痘-帯状疱疹ウイルスにとって必須な遺伝子であることを証明する。
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