われわれは、転移因子によるゲノム不安定性が統合失調症の病因であるとの仮説を提唱した。転移因子の動態は完全に固定されたものではなく、インプリンティング過程あるいは発症後にも進行している可能性がある。そこでわれわれは、統合失調症トリオサンプルおよび患者と対照者の経時的サンプルを用い、統合失調症患者におけるLINE-1およびAluを介したde novo変異についてスクリーニングを試みた。その結果、患者特異的なde novo変異を同定することができた。本研究により、転移因子の動態が統合失調症のリスク因子の一つであることが推察された。今後、転移因子を介したさまざまなde novo変異を調査していくことで、統合失調症の病因がより明確になってゆくものと期待された。
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