本研究では脳神経系の三量体Gタンパク質の機能を解明するために抑制系Gαi/oサブユニットに特異的結合するGRINファミリー遺伝子に焦点を当て研究を遂行した。GRIN1についてはコンディショナルノックアウト(KO)マウス、過剰発現系マウスの作製および哺乳動物由来細胞における遺伝子ノックダウン細胞株の樹立を終了し、GRIN3についてはsimpleKOマウスの作製に成功した。GRIN1の発現抑制実験により、GABAB2受容体の著しい発現低下とカンナビノイドCB1受容体アゴニスト刺激による細胞内シグナルの活性化が起こらないことを見出した。また、GRIN3KOマウスの解析から線条体におけるドーパミンD1およびD2受容体の発現低下を明らかとした。これらの知見から、GRINファミリーは特に神経系GPCRの機能発現に重要な役割を担うことを示唆しており、今後のGRINファミリー研究の方向性が確立できたと考えている。
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