研究課題
本研究では新規のナルコレプシー候補遺伝子として見いだされたIGFBP3およびNur77の効果を検討しIGFBP3によるオレキシン転写制御機構を明らかにすることを目的とした。オレキシン遺伝子上流配列を用いたレポーターアッセイをおこないHeLaおよびHEK293細胞においてオレキシン上流3.2kb配列は転写活性の上昇を示したが、IGFBP3に対する反応はHeLa細胞でのみ観察された。SH-SY5Y細胞でも転写活性およびIGFBP3に対する反応性が観察された。欠損変異体においてもその転写活性およびIGFBP3への反応性は保持されていた。0.7kb配列よりNurRE配列を欠損させると転写活性自体の消失が観察された。このことはNurRE自体がプロモーター活性を持つことを示唆しており、NurREのみをレポータープラスミドに導入して検討した結果、転写活性およびIGFBP3に対する反応性を有することが示された。さらにNurREがレポーターとして働くことを確認するためSV40プロモーター上流にNurREを導入し検討した結果、NurREはIGFBP3に反応して正の制御に働くことが示唆された。続いてIGFBP3がNur77を介してオレキシン転写制御を行なうのかを示すためEMSAを行なうた。Nur77を発現させた核抽出物でのみNurREのシフトが見られた。Recombinant Nur77を作成しEMSAを行なった結果、Nur77とNurREのバンドの位置が重なった。これらによりIGFBP3の作用がNur77を介することが示唆されたため免疫染色によりNur77がオレキシン神経細胞の密集する視床下部外側野に発現しオレキシン神経核内にも存在すること、Nur77によるオレキシン上流配列の制御も示した。ただしコントロールとして使用したpRL-TK自体がNur77に反応する事が判明したため今後コントロールvectorを変更し再検討を行なう必要がある。
すべて 2008
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