申請者は、これまで統合失調症をはじめとした精神疾患の疾患感受性遺伝子について明らかにするため、semaphorinやその受容体であるplexin、neuropihnに注目して、疾患との遺伝子関連解析を行っている。semaphorinは脊椎動物で約20種類存在し、いずれも神経系での重要な機能が期待されている。また、その受容体であるplexinは脊椎動物で9種類、neuropilinは2種類が見つかっており、これらもすべて神経系で重要な機能を果たしていると考えられている。これまで国際HapMap計画の進展により、ヒトにおける一塩基置換多型(SNP : single nucleotide polymorphism)の解明が急速に進んでいる。この一塩基置換によって翻訳されるアミノ酸が変化する多型も存在し、これはタンパク質の機能変化に直結する期待が強くもたれる。そこでまず申請者はNCBI dbSNPデータベースと論文からsemaphorin、plexin、neuropilinに対してアミノ酸置換を伴うSNPをリストアップし、合計28種類を選出した。実際のタイピングはハイスループットな解析に耐えうるABIのTaqMan法によって行った。現在、それぞれのSNPに対するタイピング作業が、研究初年度からさらに増えて、現在、健常者900人以上、統合失調症患者500人以上、うっ病患者400人以上、双極性障害者100人以上に関して順調に終了し、現在その解析作業に移行し、精神疾患と関連のあるSNPが見つかってきている現状である。
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