研究概要 |
呼吸性移動を伴う肺に対する放射線・粒子線治療の高精度化を目指して、CT画像を用いた肺の動態定量化技術の開発を進めている。本動態定量化では、肺の血管分岐点を抽出し、その各分岐点の動きを追跡することで臓器全体の動きの情報を得ようとするものである。しかし、現実的なCT画像上では、肺領域、血管、分岐点の各抽出の仕方や追跡アルゴリズムによって、動態追跡の精度に影響を与えることが明らかとなってきた。そこで、まず肺領域や血管の抽出方法について検討を行った。 肺領域の抽出では、基本的にはCT値の閾値処理により肺輪郭を得ているが、例えば肺門部付近で連結している大きな血管が、肺領域から除外されることが起こり得る。その他の場所でも肺野内の高いCT値領域が境界に近ければ、そこが肺領域がら除外されることがある。そこで、肺領域の閾値処理後に、新たに領域拡張、領域内穴埋め、領域収縮の処理を追加することにより、不必要に細かな境界の抽出を防ぐことができた。 本動態定量化技術では、肺野内の細かな血管分岐点を得ることができる反面、細かすぎるために追跡しきれずにエラーが増大することがある。そこで、より大きな解剖学的特徴を捉えてその大まかな動きを得ることが重要と考えている。そこで、動態定量化技術の改良点として, 血管の細線化処理において、二値化方法の改良、気管丙空洞の穴埋め、血管抽出後の境界からの距離画像において距離値の小さい画素を除外すること等によりその目的を達することを検討している。今後引き続き定量化技術の改良を進めていく。
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