研究課題
本年度はThO_2ターゲットからの効率的な放射化学分離で得られる^<230>U/^<226>Thジェネレーターから^<226>Thをミルキングし、骨親和性を持つキレート薬剤EDTMPとの標識を検討した。また、標識後の^<226>Th -EDTMPのマウス体内分布を調べた。さらに、体内分布の情報および^<226>Thとその娘核種のアルファ線のエネルギーの情報から吸収線量の試算を行った。昨年度の検討で確立した^<230>U/^<226>Thジェネレーターに8M HClを5ml流し、^<226>Thを溶離した。この溶液を加熱濃縮して1M NaOHと1M HClを加えpHを5~8に調整し、EDTMP溶液を加え80℃で10分間攪拌して^<226>Th -EDTMPを標識した。標識はペーパークロマトグラフィーを用いて確認した。その結果、^<226>Th -EDTMPは標識が容易であることが判明した。次に、ミルキングと標識を3回行い、標識された各^<226>Th -EDTMP溶液を体重32-34gの雄性ICR系マウスにそれぞれ150-200μLずつ投与した。投与から30分後に解剖して骨、腎臓、肝臓、血液の4組織を摘出しそれぞれの組織について秤量後、NaI(T1)ウェル型シンチレーションカウンタでγ線を測定し、重量集積率(%dose/g)を算出した。^<226>Th -EDTMPは質量数の異なる同位体に^<227>Th -EDTMPがある。体内分布の実験結果では、既に報告のある^<227>Th -EDTMPと類似する結果が得られた。また、薬物動態の情報を基に線量計算を行った結果、^<226>Th -EDTMPは^<227>Th -EDTMPとは全く異なる吸収線量値が得られた。このことから、^<226>Th -EDTMPは^<227>Th -EDTMPとは異なる治療効果を示すアルファ線放出薬剤であることが示唆された。
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Journal of Radiation Research
巻: 52(In press)
PETjournal
巻: 9 ページ: 36-38