研究概要 |
ウサギを用いたブレオマイシン気管内投与により作成した薬剤性肺障害モデルによる、経時的変化解析を含んだ本研究では、MPR-CT画像での前述の各所見の断面に占める割合が、どの程度局所の最も強い病理組織的変化を反映するかに関しては、浸潤影の範囲及び線状網状影の範囲は、それぞれ、病理組織での炎症スコア及び線維化スコアと軽度の相関を呈した。不均一なすりガラス影の範囲は、病理組織での線維化スコアと良好な相関を、又炎症スコアと軽度の相関を呈した。 線維化スコアはブレオマイシン気管内投与後7日後及び14日後においてピークとなり、21日後及び28日後よりも、ともに有意に高値となった。 病理組織で確定した進行した線維化に相当する領域における、線維化に至る画像所見の推移には、大別して、二つのパターンが認められた。薬剤投与直後に均一なすりガラス影が認められ、その後の経過中に浸潤影や不均一なすりガラス影及びそのいずれかを経て線状・網状影を生じるパターンと、薬剤投与直後には、いかなる陰影も認めない領域に、その後の経過中に均一なすりガラス陰影のみが、経過中に出現し、線状・網状影を生じるパターンである。 線維化スコアがピークとなった時期が、過去の報告より1, 2週間早く出現していること、不均一なすりガラス影の範囲が線維化スコア及び炎症スコアのいずれとも相関していることより、不均一なすりガラス影の範囲は初期の線維化を示唆する可能性が示唆され、抗線維化薬の効果判定に応用できる可能性がある。
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