研究概要 |
本研究はEPI法を用いない(磁化率の影響を受けにくい)新しい体幹部拡散強調画像法(Body-DWI)のMRIパルスシーケンスを開発することを目的とした. 現在, 拡散強調画像法(DWI)は二次元マルチスライスエコープラナー法(2D Multi Slice Echo Planar Imaging : 2D-EPI)を利用した2D-EPI-DWIがその大部分を占めている. しかしながら2D-EPI-DWIは「画像歪み」と「分解能」2つの欠点を持つ. 報告者はこれら2点の問題点を改善するために高速三次元拡散強調MRIパルスシーケンス(3D Diffusion Weighted Imaging : 3D-DWI)の開発・改良を進めてきた. 本手法はEPI法とは異なるMP-RAGE法を利用しているので, EPI法に比べて磁化率の影響による画像歪みが生じにくく, また三次元イメージングを利用しているので分解能で勝る. 体幹部の拡散強調画像(Body-DWI)を得るためには「消化管ガスによる磁化率の影響」, 体幹部に存在する「脂肪組織からの信号の抑制」を考慮に入れる必要がある. 2D-EPI-DWIは高速撮像という利点を有するものの, 磁化率の違いを起因とする画像歪みを生じる場合がある, 3D-DWIはEPIと比べて磁化率の影響を受けにくいので画像歪みの少ない拡散強調画像を提供できる. 体幹部にある脂肪組織からの高信号は画像コントラストを低下させる場合がある, そこで脂肪信号を抑制するためにCHESS法(Chemical Shift Selective : CHESS)もしくは水励起法(Water Excitation : WE)を3D-DWIに組み込んだ新しいMRIパルスシーケンスを開発した. 開発したパルスシーケンスはファントム実験によってその特性を評価した. ファントム実験より本手法は脂肪からの信号を効果的に抑制することができた.
|