・具体的内容 両側大腿部筋肉内にVX2腫瘍を移植した家兎5匹(10検体)を用いて、MRIによって獲得されたECR画像(分子画像)と同部位の腫瘍の組織標本を比較した。この動物実験結果は次のようである。 1. VX2腫瘍を移植した家兎の腫瘍部分に対してMRIの撮像を行う。 2. MRIより作成されたECR画像を用いてECR値を計算する。 3. 腫瘍を取り出しホルマリン固定後、H-E染色とアザン染色をした組織標本を作製する。 4. VX2腫瘍におけるviable領域とnecrosis領域のECR値を測定するとそれぞれ61.2、35.8%であった。この数値には有意差がみられた。 5. ROC曲線を作成し、thresholdを48.3%と決定するとnecrosi5領域に対するsensitivity、specificityはそれぞれ96.0、100%と非常に高い値が得られた。 6. ECR値と細胞密度との相関関係を求めるとグラフは直線化し、その相関係数はr^2=0.729と高い相関関係が得られた。 ・本実験の意義、重要性 低侵襲検査であるMRI検査により得られたECR画像は細胞成分を直接反映した分子画像である。そのECR画像から計算されたECR値は、腫瘍細胞のviable領域とnecrosis領域を明瞭に区別することができ、さらに腫瘍細胞密度と強い相関関係にあることが証明された。この技術を臨床現場に応用すれば、腫瘍細胞の状態を画像化することができると考えられる。腫瘍細胞の情報を定量化することが可能になれば、腫瘍と抗癌剤の効果が細胞レベルで評価することが可能となり、早期治療効果予測につながると考えられる。
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