血管新生因子である血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)は、Thymidine Phosphorylase (TP)と同一タンパク質であること、さらにその酵素活性は、腫瘍の血管新生、浸潤、転移と関連があることが明らかとなっている。またTPが、正常組織に比べ様々な固形腫瘍において高レベルで発現することが古くから知られている。 本研究では、PDIECGFの発現すなわち腫瘍における血管新生をin vivoで選択的にイメージングできる放射性薬剤の開発を目的としている。これまでに[^<11>C]ボスゲンを標識化剤としてPD-ECGFに親和性かつ高い比放射能を有する[^<11>C]標識化合物の合成、さらにPDIECGFに非常に高い親和性をもつ放射性ヨウ素標識化合物の合成に成功している。 今回、[^<11>C]標識化合物のTP発現腫瘍細胞および担がんマウスにおける取り込みを検討した。[^<11>C]標識化合物は、ウェスタンブロット法によりTPの発現が確認されたA431細胞とインキュベートした結果、放射能集積量が経時的に増加し、腫瘍細胞への取り込みを認めた。A431細胞移植マウスに[^<11>C]標識化合物投与したところ腫瘍では投与5分後から放射能集積が観察され、その集積量は60分後においても維持されたおよび放射性ヨウ素標識化合物、腫瘍への高い取り込みが認められ、標的とするTPとの特異的結合に起因している可能性が示唆された。 今後放射性ヨウ素標識化合物に関しても同様に検討を実施し、小動物用イメージング装置を用いた研究へ発展させたい。
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