| 研究概要 |
腫瘍細胞の化学放射線療法に対する反応を予測する方法を確立するためことが本研究の最終的な目標である。今年度は、基礎研究として食道癌細胞に抗癌剤投与と放射線照射を行い、反応を期待できる遺伝子候補として、昨年度に引き続き、GADD153,p21,c-Junの3者を選択した。コロニー法を用いて、食道癌細胞への放射線照射を行ったところ、用量に依存した生存率曲線が得られた。当該遺伝子物質のアンチセンスを蛍光色素で標識したところ、一定量を越えたところで、放射線照射で蛍光発色が観察された。3者の候補遺伝子の中から、有望と思われたGADD153について今年度も検討した。real-time PCR quantification system法による定量的測定では、放射線照射では期待した投与線量と発現遺伝子量の定量的関係は得られなかった。本研究の成果として、アンチセンス法からは、放射線照射および抗癌剤投与による蛍光発色により、遺伝子発現による定性的な治療効果予測が期待できることと、機能的画像診断法への応用も今後期待されることが挙げられる。その一方、定量的な遺伝子発現量の測定では、放射線投与量と遺伝子発現量の間に用量関係は確認できなかったことから、治療効果の有効性の評価法としては不十分であり、さらなる検討が必要であると思われた。また、抗癌剤、放射線投与の両者では、遺伝子発現機序の相違があることも推測された。
|
