平成21年度は動体ファントムシステムの改良を行なった。まず、平成20年度に動体ファントムシステムを作成した。平成21年度は(財)癌研究会有明病院放射線治療部にて実際呼吸同期照射を行なった患者さんの呼吸波形データを収集した。それらの呼吸波形を開発したファントムシステムのソフトウェアを利用して取り込むことを可能とした。その波形の情報を動体ファントムに送信し、波形通り動かすために離散化するアルゴリズムを開発した。アルゴリズムでの解析後、そのデータを動体ファントムに送信し、動作することを確認した。 また、その動体ファントムを利用して、呼吸同期照射における不確かさの検討を行つた。すなわち、計画時は静的な画像での計画であるが、実際は呼吸によって腫瘍が動作する。それによって実際患者に投与されている線量が計画と異なる。そこで、癌研有明病院にて使用している一般的なファントムと本研究で開発したファントムを利用して、ファントム実験による実測線量と計画線量の比較を行なった。適切な呼吸同期ゲート幅を設定した場合、腫瘍を含むターゲット内は目的とする線量が投与されることが確認されたが、ゲート幅の設定が小さい場合や患者セットアップによってゲート幅の位置が間違った場合、腫瘍に十分の線量が投与されない可能性が示唆された。
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