磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging: MRI)を用いた生体内の拡散計測では、組織微細構造に起因した水分子運動制限を観測できる。通常のMRIとは異なり、細胞サイズの情報を捉えられるため幅広い神経疾患において有用性が報告されている。しかし、生体内拡散現象の複雑さによりどのような組織構造を観測しているかは不詳の点が多い。その究明の糸口として拡散情報の定量化が重要である。拡散MRIを定量する試みにはいくつかあり、大きくは複数の拡散成分の存在を仮定するパラメトリック解析とモデルを用いないノンパラメトリックな解析法がある。q-spaceは、細孔構造の解析法であり、100nm〜100μmの微細構造を定量できる。制限拡散のモデル化が難しいことから、本研究ではノンパラメトリックな解析法であるq-space法をベースとして定量化を行う。7Tesla動物用MRI装置を使用し、神経軸索に見立てた内径15μmのマイクロキヤビラリを用い、得られた解析値と内径サイズの整合性を確認した。さらに、マウス脊髄白質領域における構造サイズについて髄鞘形成不全モデルであるShivereマウスとWild typeマウスにおいて検討した。
|