細胞増殖やアポトーシス等と密接に関係する上皮成長因子(EGF)受容体のチロシンキナーゼ(TK)に着目した新規PET画像診断薬を開発する。癌分子標的薬剤であるEGFR-TK阻害剤の治療効果予測や治療効果判定等を定量評価する分子イメージング法を開発し、その阻害剤適応癌患者の層別化を目指す。放射性診断薬I-IPQAを新規合成し、EGF受容体分布やEGFR-TK活性を定量化する画像診断法を確立する。平成20年度の研究成果は以下の通りである。 1、EGFR-TK選択的阻害化合物の選択 : 高いEGFR-TK阻害活性を有するにはキナゾリン骨格が重要であることに着目し、キナゾリン骨格を有する種々の誘導体をIn Silico Modelingにてドラッグデザインした結果、4-[(3-ヨードフェニル)アミノ]-キナゾリン誘導体であるIPQA ; (E)-But-2-enedioic acid [4-(3-iodoanilino)-quinazolin-6-yl]-amide-(3-morpholin-4-yl-propyl)-amideを画像診断候補化合物として選択した。 2、放射性ヨウ素標識体I-IPQAの合成 : 放射性ヨード標識IPQA ; (E)-But-2-enedioic acid [4-(3-iodoanilino)-quinazolin-6-yl]-amide-(3-morpholin-4-yl-propyl)-amideの簡便で安全かつ効率の良い放射性標識合成法の確立にあたり(基礎実験には^<125>Iを使用)、ヨウ素-スズ置換反応にてヨウ素標識部位にトリブチルスズ基の導入し前駆化合物を合成した。得られた前駆化合物と放射性ヨウ化ナトリウムを室温で10分間反応させた後、高速液体クロマトグラフィーで分離精製し目的標識化合物であるI-IPQAを得ることに成功した。
|