研究概要 |
現在までに、ヒト大腸および胃癌のサンプルから、5つの間質細胞を分離・培養した。いずれも、セルラインとして確立し、保存されている。免疫組織染色によって、desimi, alpha-SMA陽性であることを確認し、CD31, CKに陰性であることも確認した。以上の染色性に関しては、1つのセルライン中の多様性もあり、興味深い結果も得られている。詳細は、今後検討していく予定である。 次に、癌細胞に対する影響を、in vivoで調べだ。現在まで報告きれた情報では、癌間質細胞は、癌細胞と同時にヌードマウス皮下に移植した場合、癌増殖を促進する効果が知られている。今回の同様の実験では、4つの間質細胞は、大腸癌細胞株HCT116に対して、同様に増殖促進効果を示した。しかし、1つの間質細胞は、HCT116増殖を有意に抑制することがわかった。これは、今までにない効果をで、今回我々が提唱している仮説を裏付ける結果である。 このメカニズムを明らかにするために、in vitroの系を用いて実験を行った。結果、in vivoでの癌抑制効果を示した間質細胞のCMは、HCT16をむしろ増殖促進させることがわかった。よって、この間質細胞の癌抑制効果の原因は、in vivoの血管新生抑制の可能性が考えられる。今後、この因子を同定していく方法を検討中である。 一方で、ケモカインとサイトカインは、in vivoとin vitroで異なる効果があることが考えられ、現在5つの間質細胞における、ケモカイン・サイトカインの相違を調べている。
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