本研究の目的の一つは、OK432とPSKの併用投与よる、樹状細胞(DC)に対する作用の変化を検討し、従来の方法によるDCより成熟化能・CTL誘導能・遊走能に優れたDCを作成することである。 まず、我々は健常人3例、担癌患者4例の末梢血から作成した未熟DCに、成熟化刺激としてPSK、OK432単独、および両者の併用をそれぞれ添加し、以下の検討を行った。1)DCの成熟度の指標となる表面発現抗原CD83、86をFACSで測定した。2)CTL活性の指標といわれるCD107の発現についてFACSで測定した。3)遊走能の指標分子であるCCR7をFACSにて測定した。 検討の結果は、1)OK432にて成熟化刺激したDCは高い成熟度を得たが、PSK単独では成熟度は低かった。両者の併用ではOK432単独と同様に高い成熟度のDCが得られた。2)OK432にて刺激したDCおよびPSKとOK432を併用したDCではCD107発現の高いCTLが誘導された。3)OK432によって成熟化したDCではCCR7の発現低下が認められた。PSK単独と両者併用DCでは、OK432単独に比較してPSKの濃度依存性にCCR7の発現が増強し、PSK100μg/ml併用ではOK432単独に比して有意な発現増強を認めた。 以上の結果より、OK432にて成熟化したDCでは高い成熟度とCTL誘導能を持つが遊走能の指標となるCCR7の発現が低下していること、またPSKを併用することにより、健常人・担癌患者の双方でCCR7の発現が高くなり、遊走能が改善することが示唆された。今後は、実際のDCの遊走を確認し、in vivoへの応用を検討していく予定である。
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